タワーリング・インフェルノ〜グレイト・デザスター・ムービーズ
The Towering Inferno: Great Disaster Movies
カルチュア・パブリッシャーズ CPC8-1036 11月26日発売
ジョエル・マクニーリーとジョン・デブニー指揮ロイヤル・スコテッシュ・ナショナル・オーケストラの演奏によるパニック映画ものの作品集。特に版権の関係で今だにCD化されていない『タワーリング・インフェルノ』が新録音で20分近く収録されているのがうれしい。フィーチャーされたのは、「メイン・タイトル」、「フィナーレ」、そして「設計者の夢」の3曲だ。問題のクオリィティだが、これについては全く問題なし。「メイン・タイトル」は、サントラとほぼ同じ早いテンポで展開。後の2曲もかなりサントラに近い出来だ。また、同じウィリアムズもので『大地震』と『ポセイドン・アドベンチャー』の「メイン・タイトル」も収録。前者は、出だしのホルンの音がよく聴こえないのが残念。また、後者はこれが公式には初の公の録音で、非常に貴重だ。出来の方はなかなか良かった。どうせならば、この3作品だけで作ってくれるともっと面白かったかも? 日本盤が先行して発売!
プライベート・ライアン ユニバーサル・ビクター MVCA-24013

当初は、映画がコメディ・タッチになるということが告知されていた『プライベート・ライアン』は、このスコアを聴く限りにおいては誤報だったことが、裏付けられる。全体的に音楽は、ストリングスを朗々と歌わせるクラシカルな作品で、前作の『アミスタッド』の中の「アダムズの最終弁論」のような、アメリカ的なコープランド風のサウンドに仕上がっている。また、ホルンやトランペットのソロのパートが間を埋めて、大変スケールの大きな作風になっているのが特徴だ。テーマというべき曲『戦没者への賛歌』は、スネア・ドラムのマーチ風のリズムに乗せて、混声合唱のハミングが朗々と歌われ、ブラスのパートがゆったりと歌いこみ、それにストリングスがフーガ風にバックで味付けを行い、壮大なレクイエムを聴かせる。思うにホルストの「吹奏楽の為の組曲」を彷彿させるような、ブラスバンドのクラシカル作品の様な味わいを感じさせ、コンサート・ピースとしてもすぐに使えそうな高度な作風を展開させている。その他の曲は、アンダースコアによる音楽が主で、ブラスのアンサンブルによる『オールウェイズ』風の作風が目立つが、『JFK』風のスネア・ドラムの伴奏をバックに、ストリングスが歌い込むパートは圧巻だ。演奏は、ハリウッドのスタジオを離れて、ボストンでボストン交響楽団を使用して行われ、同楽団のトランペットのティモシー・モリソン、ホルンのリチャード・シーブリングが素晴しいソロ・プレイを聞かせている。映画は9月中旬に日本公開される。物語は、第2次世界大戦、ノルマンディーに上陸したアメリカ兵が指名を帯びて、敵地にパラシュート降下したライアンという男(マット・デイモン)を、トム・ハンクス扮する隊長の小隊が救出する話だ。
収録曲 @戦没者たちへの賛歌 6:10 Aノルマンディへ再訪問 4:06 Bオマハ・ビーチ
9:15 Cプライベート・ライアンを発見 4:37 D敵とのアプローチ 4:31 E防御準備
5:54 F死 4:30 G高校教師 11:03 H最後の戦い 7:57 I戦没者たちへの賛歌(リプライズ)
6:10
アミスタッド ユニバーサル・レコード MVCA-24007
スピルバーグが『シンドラーのリスト』以来、4年振りにシリアス・ドラマを手がけた作品となるが、音楽の方は『シンドラーのリスト』とはだいぶ異なるようだ。物語は奴隷船アミスタッド号の中で、母国へ帰ろうとする黒人たちの反乱が起り、アメリカ政府は彼等を投獄、アンソニー・ホプキンス演じる元大統領アダムスが裁判で彼等を救おうとする。
スコアの旋律は『シンドラーのリスト』とはまったく違ったアプローチで、主題曲は見事の一言。メゾ・ソプラノと黒人混成合唱団を入れこんで、スペクタクルに音楽が展開する。これはちょうど、『太陽の帝国』の歓喜を思い起こさせる作りだ。コーラスのパートが多いのも『太陽の帝国』に共通している。それにゴスペルがほんのりと色づいて、『ゴースト&ダークネス』の様な雰囲気をも持っている作風である。黒人とくれば、まず最初に『ローズウッド』の音楽が頭に浮かぶが、このウエスタン風の音楽とも違う。全体的には、合唱とアフリカン・ドラム、オーケストを配したものが中心だ。面白いのは、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』で取り入れた、お経のようなコーラスをここでも取り入れている点だ。これはなにか意図があるのだろうが、それは映画を観てからのお楽しみといったところだ。そしてなんといっても魅力的なのは、裁判シーンのストリングスによる重厚なアンサンブルだ。特にチェロはすさまじい迫力で迫ってくる。この辺の音楽はコープランド調で、あのコープランドの傑作『リンカーンの肖像』を彷彿させる展開だ。また、おなじみホルンのジム・ザッカー(『オールウェイズ』『JFK』)、フルートのジム・ウォーカー(『ザ・リヴァー』)、そしてボストン・ポップスのトランペッター、ティム・モリソン(『JFK』『7月4日に生まれて』)が朗々とソロを歌いあげるのも魅力の一つである。
セブン・イヤーズ・イン・チベット
ファイルレコード ARCD061 発売中(右のチラシと同じデザインが日本盤)

チェロの音色がドラマチックにオーケストラと絡み合い、不思議な音場を作り出す。これはなんというか、『7月4日に生まれて』を彷彿させるようなストリングスの展開と、『ジェダイの復讐』で度々聴かれたダークさを含んだスコアが融合している感じの音楽だ。(やや、『ニクソン』の曲も彷彿させる)テーマ曲では、ブラスによるスペクタクルいっぱいの音楽をふんだんに聴かせるが、全体的にはストリングスを中心とした重圧でドラマチックなサウンドが展開する。なんと言っても、今回のスコアの売りはヨーヨー・マによる力強いチェロのソロである。チェロを引き立たたせるために、クラシカルな雰囲気も漂よわせ、これは映画音楽というより、マの為に書き上げた純音楽といった感じが強い。また、ソロのみのパートでは、ウィリアムズ氏の『ヴァイオリン協奏曲』の1部を彷彿させるほどの、クラシカルさなのである。ソリストとの共演といえば、真っ先に『シンドラーのリスト』の時のパールマンが上げられるが、この時よりもマの参加は多く、なんと14曲中10曲も共演しているのだ。
チベットを舞台としていることから、当然、東洋的なフレーズが期待できるが、これは思ったより控えめで、西洋的なスタイルで貫き通している。数少ない東洋的なフレーズは、大きく分けて二つで、ストリングスが『ラストエンペラー』のような中国的なスタイルで歌い上げるパートと、和太鼓、尺八、さらにお経が絡む、前衛的なパートだ。後者はモーリス・ジャールが『将軍』の為に書いた「お茶とジェラシー」を思い起こす作風で、奇妙で魅力的な面白いスコアだ。どれもあの壮大なチベットの山々を彷彿させるスケールの大きなスコアになっており、これはまさしく、ウィリアムズ版『ラストエンペラー』と言えるかもしれない。
1.チベットの7年間 SEVEN YEARS IN TIBET 7'08
2.若きダライ・ラマとお経 YOUNG DALAI LAMA AND CEREMONIAL CHANT * 2'14
3.イングリッドを出発LEAVING INGRID 2'43
4.ピーターの救出 PETER'S RESCUE 3'45
5.旅路 HARRER'S JOURNEY 4'05
6.侵略 THE INVASION **5'08
7.リフレクション REFLECTIONS 4'41
8.予感 PREMONITIONS 2'56
9.頂上へ近づくAPPROACHING THE SUMMIT 5'44
10.宮殿への招待 PALACE INVITATION 4'46
11.ヘンリッチの冒険旅行 HEINRICH'S ODYSSEY 8'03
12 静かな瞬間 QUIET MOMENTS 4'21
13息子を取り戻して REGAINING A SON 1'48
14 チベットの7年間(リプライズ)SEVEN YEARS IN TIBET (REPRISE)7'13 TOTAL
TIME: 65'53
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